HYOGO WARD, KOBE CITY STATION ROAD PROJECT
プロローグ
保有期間3ヵ月、
このスピードの理由。
「日本ユニストがリーダーシップを取り、不動産業界のIT化を進めていく。」
この言葉には、不透明な不動産取引をITによって見える化し、不動産をインフラとして正しく機能させたいという日本ユニスト代表取締役・今村の想いが込められている。
日本ユニストは業界の先陣を切るべく、社内・社外でDX推進に取り組んでいるが、神戸市兵庫区駅前通プロジェクトはその成果がカタチとなって表れたひとつの例。本件では、物件の仕入れから販売まで、ITの活用によって約3ヵ月という速さを達成している。
なぜ、この驚異的なスピードを実現することができたのか。このプロジェクトには、2つの大きなポイントがあった。
プロジェクトストーリー
「この物件は当初内諾していた売却先が、契約直前で辞退されたんです。そこで売主と仲介業者から、日本ユニストで購入することを前提に検討してもらえませんか、というお話をいただきました。」と、仕入れ担当の馬場は振り返る。
売主はもともと、計画段階で分譲マンションのプランを試算していた。日本ユニストも当然、同規模程度のものを建てられると見積もっていた。
ただ、売主は分譲、日本ユニストは賃貸を想定。部屋の割り振りや広さなどが変わるため、一度仮のプランを設計会社に依頼したところ、上がってきたものは思った以上に容積率の消化が良くなかった。このままでは購入も売却も、収支が合わない。
「時間も限られており、これはまずい、と思いました」。
この事態に、すぐさま動いたのが今村だった。馬場がこのプロジェクトに集中できるよう、スケジュールの調整を指示。山口も、オンライン会議システム<Zoom>で、魅力的な資料作成のアドバイスやフォローに当たった。
その結果、設計を見直したプランと企画資料が完成。なんと、契約前日のことだった。「想定の水準を達成でき、無事に物件を購入できました。」
タイトなスケジュールの中、魅力的なプランニングを練り直すことを可能にしたのが、今村のリーダーシップと、社内のIT化によるタイムラグのない意思決定だった。Slackでのやりとり、Zoomでのレクチャー、動画による指示など、さまざまなツールを適宜利用することで、時間や場所に縛られないスピーディな進行が可能になった。
また、次に向けた教育材料として、今村は社員全員に一連の出来事を動画で配信した。共有することで、同様のケースが起きたときに各自が自分の判断で対応できる。「共有しなければ、同じことの繰り返しになってしまう。一案件の出来事として終わらせず、情報を蓄積し、活用していくことが大切だと思います」と、馬場は語る。
ITによって契約間近に企画資料が完成し、無事に購入することができたこの物件。次は、売却というミッションが待っている。
結論から言えば、この物件は11月12日に販売開始の告知をし、一ヵ月を待たず12月9日には買付書面を受領した。「この物件の規模感で言うと、あり得ないほどの早さだと思います」と語るのは、販売担当の中田。そのあり得ない早さを実現したのも、やはりDXによるものだった。
日本ユニストは、法人向けクラウド名刺管理サービス<Sansan>を利用。名刺を社員各自が所有するのではなく、データベース化して一元管理している。登録されているのは、約5000名分のメールアドレス。そこに宛て、物件の詳細資料がダウンロードできる内容のメールを送付したいターゲットへ一斉に送信する。
これまでであれば、営業マンが資料持って一件ずつ仲介業者を回っていたところ、メールであればペーパーレスで一気に5000人に情報発信が可能になる。5000件を回る時間と労力を考えれば、その差は歴然。圧倒的なコストパフォーマンスを発揮する。
名刺のデータベース化の恩恵は、メールマーケティングだけではない。「実は、売却先の企業は今回が初めての取引。それもそのはず、その企業の名刺を持っていたのは、既に退職していた社員だったんです」と中田。貴重なビジネスチャンスを逃さずに済んだのは、名刺を会社の資産として適切に管理していたからこそ。もしデータベース化していなければ、絶対につながることのない相手だった。
物件の質疑に関するやりとりはすべてメールで行い、中田が売却先と初めて顔を合わせた日に買付証明書を受領した。そしてその売買契約は、電子契約にて取り交わしを行った。
エピローグ
それは、業界の常識を変えるエポックメイキング。
これが、「神戸市兵庫区駅前通プロジェクト」のフロー。
仕入れから売却までの期間がいかに短いかが、お分かりいただけるだろう。
- 2020年10月2日 情報入手
- 10月9日 買付書面提示
- 10月28日 企画確定
- 10月29日 最終購入意思決定
- 10月30日 売買契約締結(購入)
- 11月12日 販売開始
- 12月9日 買付書面受領(売却)
- 12月10日 決済(購入)
- 12月22日 売買契約締結(売却)
- 2021年2月17日決済(売却)
このプロジェクトのポイントは、ひとつは魅力的な企画開発のためにDXで社内を調整したこと、もうひとつは販売もDXによってスムーズに進んだこと。売買も電子契約で行った。まさに、DX推進に取り組んでいなければ、実現し得ないプロジェクトだった。
最後に、今後の展望について、2人に聞いてみた。
「仕入れから販売まで、DXによる効果が見えたモデルケース。購入の意思決定に必要な企画資料作成の考え方や手法、どんな材料が揃えばすぐ販売を始められるかなど、プロジェクトの流れを全員で共有することで、他の担当が別の物件にも生かせます。」と馬場。
中田は「販売物件を掲載しているギャラリーサイトを、もっと活用したいですね。将来的にはサイト内で物件資料の提供から現地案内、商談まで行うように出来れば」と構想している。
日本ユニストがDXを加速させることで、不動産業界特有の仕組みが少しずつ変わっていくかもしれない。今回のプロジェクトは、そのエポックメイキングになるだろう。
神戸市兵庫区駅前通プロジェクト
HYOGO WARD, KOBE CITY STATION ROAD PROJECT