SHINIMAMIYA HOTEL PROJECT
プロローグ
プロジェクトを動かす、熱意。
大阪、西成。
かの地が今、折からのインバウンド旅行客の増加に伴い大きな変革の時を迎えている。
国内各地に訪れる訪日外国人にとって、滞在期間中のホスピタリティは「旅の思い出」の良し悪しを左右する非常に大きな要素のひとつ。民泊やビジネスホテルへの滞在を余儀なくされている実情は、観光立国を標榜して久しい我が国の「おもてなし」精神に照らして考えても、いささか物足りなさ感が拭えない。彼らにとって利便性の良い立地で、よりよい滞在体験を提供できる環境づくりは、インバウンド観光客でひしめく我が国の喫緊の課題であると言っても過言ではないだろう。
地上13階、総戸数186戸のスケールで開発される、インバウンド特化型ホテル。
今まさに、上述した現状に一石を投じるプロジェクトが遂行されている。
手がけるのは、当社・株式会社日本ユニスト。
プロジェクトへの熱意と強い信念。当社の強みがふんだんに盛り込まれた、ストーリーの一端をご覧いただこう。
プロジェクトストーリー
今村 亙忠(いまむら のぶただ)。
株式会社日本ユニストの代表取締役を務めている。
その日、今村は迷っていた。
大阪市西成区花園町で進めていた開発プロジェクトが依頼主との間で折り合いがつかず「一旦白紙」に。当該用地の取得に向けて各方面への手配を進めていたのに、だ。
「なんとかしなければ…」
しかし一人の社員からの情報が状況を一変させる。
「学生時代に知り合った起業家の中で、インバウンドに特化したホテル事業を目指している人がいまして…。携帯電話の番号を知っています!」
考えるより前に、電話をコールする自分がいた。
アポイントを難なく確保し、打ち合わせに備える。
つい今しがた電話で話した彼こそが、今回のプロジェクト推進の起爆剤になることなど、その時は知る由もなかった。
今村がコンタクトをとったのは株式会社フリープラス。近年インバウンド特化型ホテル運営で目覚ましい躍進を見せていた。
大阪市西成区の花園町案件についてミーティングと検証を重ねた結果、当該用地はフリープラスの構想には適さない、との事。ところが。
「この場所なら、ぜひ前向きに検討したいのですが、どうでしょうか」
買収用地の逆指名。彼が指差す先は、30年以上買手のつかない「あいりん地区」の一角。
土地柄は十分理解している。しかし、使用用途を全ての判断の基準に据えた提案であることを直感的に理解した。確かに、ここにホテルがあればインバウンドの未来は明るい。
2016年7月、運命の歯車が噛み合った瞬間だった。
日本ユニストの営業チームを束ねる、事業部長の人脈を駆使して地主にコンタクトを取ることに成功。当該用地そして新今宮エリアとインバウンド向けホテル開発の親和性・必然性を端的かつ情熱的に語るフリープラス代表のプレゼンテーションに深く共感しつつ、今村はプロジェクトが力強く走り始めている感覚を実感していた。
綿密にプロジェクトの収支を計算し、万全のリスクマネジメントを志向していた今村。しかしここで、ホテル運営の実績の少なさに起因する資金調達の難しさに直面する。
「どう考えても、2億程度の資金が足りない。万策、尽きたか…」
諦めきれない想いを胸に、フリープラス代表に事情を伝えた今村。待っていたのは、予想をはるかに越えた返答だった。
「その半分、当社で持ちましょう。」
土地買収の決済二日前。合意を得たフリープラスより、心から熱い、情熱と信頼の1億円がユニストの口座へと振り込まれた。
今村には、つくづく強運が宿っている。学生時代にはバックパッカーとして世界に飛び出し、自分の目と耳、感覚で世の中を見つめた経験を持つ。歴史と数学をこよなく愛し、ビジネスにおいても先人に学び、まるで数式を追い求めるように新たなスキームを見出す努力を怠らない。「世の中にインパクトを与えられる、貢献できる会社を残す」ために、今できることに全力を注ぐタイプ。ともかく、真っ直ぐで気持ちが良い男なのだ。
資金面での試練を乗り越えたちょうどその頃、彼はまたもや得難い出会いに恵まれていた。
関西気鋭のゼネコン、スナダ建設株式会社の社長に気脈を通じた今村。今回のプロジェクトへの想いを、そして熱意を伝えて意気投合。破格の待遇でホテル建設を依頼することに成功していたのだ。
今村は振り返る。
「どんな事業にも、トラブルはつきものだと思います。その時、乗り切るチカラ。結束力は本当に大切な要素なんです。このメンバーなら大丈夫、という直感的な感覚をひしひしと感じることができました。」
今村の直感が紡いだ、最強の布陣。
役者は、揃ったのだ。
信頼と結束、そこに情熱と熱意が合わされば、難局を乗り越える推進力は計り知れない。
期中には、3ヶ月もの工期延長が必要なプラン変更依頼をフリープラスから持ちかけられたこともあった。類似物件での顧客動向を踏まえた上での、先を見据えた間取りプランの変更。そこには、フリープラスのこのプロジェクトに対する「想い」が込められていた。当初のプランとは異なる変更依頼に対し、意図を理解し快諾、柔軟に対応した今村。そんな日本ユニストに対し、竣工レセプションでのエピソード紹介時、フリープラス代表は感謝の意を忘れなかった。
エピローグ
増すチカラ、見据える未来。
2018年10月、いよいよリリースされた新今宮の新名所。
日本ユニストが開発したこのホテルは2018年末に売却が確定し、本プロジェクトは大成功を収めた。
今村が見据える未来。
「今は不動産事業を介して社会に貢献することができます。ただ、業種に拘るつもりはありません。現在、私たちを取り巻くビジネス環境の自由度は格段にアップしていますよね。フィンテックなども含めた、もっと包括的なサービス体系をスキーム化することで国内・海外の垣根を越えた活躍の場は広がっているんです。」
現在、この新今宮でのホテルプロジェクトをモデルケースに、本格的にホテル運営事業の分野への進出を計画する当社。展開するターゲットエリアは国外各所を射程に収めている。
当社、日本ユニストが見据える未来は限りなく広く、そして魅力的に思えてならない。
新今宮ホテルプロジェクト
SHINIMAMIYA HOTEL PROJECT
運営会社 | 株式会社フリープラス |
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施工会社 | スナダ建設株式会社 |
所在地 | 大阪市西成区花園北1-2-1 |
構造・規模 | 鉄骨造、地上13階建て 延べ面積 約5,000㎡ |